世界の湿潤熱帯を中心に880属25000種、日本には88属約300種、日本の固有植物は59種5亜種16変種。根に内生菌をもつ多年草。花はふつう両性で左右相称。萼は背萼片1個、側萼片2個、花冠は側花弁2個と唇弁1個からなる。唇弁は大きく、ふつう花の下側にくる。子房下位。雄しべ、花柱、柱頭は合着して、ずい柱をつくる。
ランは単子葉植物の中でもっとも進化しており、およそ880属25000種という数の多さや花のつくりがそれを証明している。すなわち雄しべと雌しべは合体して蕊柱を形成し、花粉も互いにくっついて花粉塊になり、昆虫によって効率よく運ばれるようになっている。ランは、極地や砂漠を除いて、世界中に広く分布している。しかし、園芸的に取扱われているランはおもに洋ランとよばれ、樹木や岩につく着生ランであり、これらは世界の熱帯や亜熱帯が分布の中心となっている。
科名は「精巣」の意。
(印象)ラン科の植物は思いっきり環境が難しく、栃木の暑い夏と霜の両方に耐えて地植えで育っているのは、エビネとシランくらいのもの。大抵の場合、豊富な地下水や木の水を必要としているようだ。
アツモリソウ属(Cypripedium)・・・北アメリカとユーラシアに40種ほど、日本に4種ある。側萼片2個は合着する。唇弁は袋状で距がない。花粉塊はつくらない。
この他クマガイソウなど。
ウチョウラン属(Ponerorchis)・・・日本には4種固有がある。
エビネ属(Calanthe)・・・日本には5固有種があり、いずれも常緑広葉樹林の林床に生育する。
カキラン属(Epipactis)・・・カキラン
この属にはキンラン、ギンランなどがある。
この属にはコチョウラン(胡蝶蘭)がある。
シュンラン属(Cymbidium)・・・サガミランはマヤランによく似るが花に赤色の斑紋が入らない。遺伝的にも両社は分化している。関東地方に分布。
シラン属(Bletilla)・・・シラン
ツレサギソウ属(Platanthera)・・・北半球に約200種、日本に22種がある。葉は互生し、1〜12個ある。花序は穂状、花は白色か黄緑色。唇弁は全縁、距がある。属名はplatys(広い)とanthera(葯)からなり、葯室が離れて位置することに由来する。
テガタチドリ属(Gymnadania)・・・北半球の温帯〜寒帯に約10種あり、日本に4種が自生する。葉は数個〜10数個が互生する。花は紅紫色か白色、総状に5〜40個つく。唇弁は3裂し、距がある。
トキソウ属(Pogonia)・・・東アジアと北アメリカに数種ほどが分布する多年草で、日本にはトキソウとヤマトキソウが分布。
この属には、ハクサンチドリがある。
ミズトンボ属(Habenaria)・・・ヒメミズトンボは、基準変種オオミズトンボと比べて、花が小さく、特に距が短いことで区別できる。北海道と尾瀬ヶ原の日当たりのよい湿地に生える。その他の種としてサギソウなどがある。参考文献
日本の固有植物 (国立科学博物館叢書)
高山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑)
園芸植物 (山渓カラー名鑑)
蘭 (山渓カラー名鑑)
最終更新日 2019/04/21