北海道の奥尻島から本州、四国、九州と広く分布し、さらに朝鮮半島、中国へと広がる。比較的乾燥した雑木林などの樹林化に、ごく普通に見かける多年草の野生ラン。
根茎は太く白い。葉は束生し、常緑の線形で、緑に細かな鋸歯がある。葉元に直立した花茎を出し、高さ10〜25cm、数個の膜質の鞘状鱗片につつまれる。花は茎頂にふつう1個つき、萼片3個と側花弁2個は緑色〜黄緑色を帯び、唇弁は大きく白色で濃紅紫色の斑点がある。
花はほのかなよい香りをするものもあり、塩漬けにして料理にも使用される。
日本の自生ランとして人気が高く、古くから栽培され、葉に美しい班が入る葉芸種や、得意な花色の選別品種などがある。
風通しの良い、半日陰の場所で育てる。霜に気をつける。
カンラン (団地の林内に生える。淡緑色の花、花色に変化が多い。)
サガミラン (関東地方に分布。マヤランによく似るが花に赤色の斑紋が入らない白花種。)
ナギラン (常緑樹林内に生える多年草。花は白色でやや紫色を帯びる。)
マヤラン (常緑樹林内に生える腐生の多年草。花は白色で紅紫色を帯びる。)