キクザキイチゲ

最終更新日
2019/03/22
●学名
Anemone pseudo-altaic
●科名
キンポウゲ科イチリンソウ属
●花期
3月〜5月
●生育地

北海道から近畿地方以東の本州に分布。山地の林や草原に生える多年草。雪どけの後の林縁などに美しい大輪の花を群開させる。

●特徴

高さ10〜20p。根生葉は2回3出複葉で羽状深裂、茎葉は3枚が輪生する。小葉は羽状に深裂し、鋸葉がある。茎頂に直径約3cmの花を1個開く。花弁状の萼片は線状長楕円形で8〜13個、淡紫青色〜白色。雄しべ、雌しべとも多数。葯は白色。

●写真集

キクザキイチゲの花キクザキイチゲ 坂戸山

キクザキイチゲの花キクザキイチゲ 春の野山

●育て方

早春に花を咲かせて暑くなるころには休眠するため、根生葉が出始める頃から開花まではよく日に当て、花後は半日蔭で管理する。完全に地上部がなくなったら、棚下や木陰など涼しい場所へ。

水切れに弱いので、乾いたら充分に灌水する。休眠中でも乾燥に注意し、地上部のある間にしっかり肥培する。

植え替えは年に1節ずつ伸びる地下茎を2〜3節ごとに手で折って植え付ける。

用土は赤玉土や硬質鹿沼土で、中深鉢を用いる。

株分けのほか、根伏せ・実生でも殖やせる。

暖地での鉢植えでは花つきが悪い。花つきのよい八重咲きの普及種や三段咲きの選別花が流通する。

●近縁種

キクザキイチゲとアズマイチゲの違い

キクザキイチゲの花

キクザキイチゲ
葉の切れ込みが深い。

アズマイチゲの花

アズマイチゲ
葉の切れ込みが浅く、垂れ下がる。


アズマイチゲ (山地の林の中に生える多年草。キクザキイチゲとは葉で区別する。)

アネモネ (地中海地方原産の秋植え球根植物。)

イチリンソウ ( 本州、四国、九州に分布。落葉広葉樹林の林床や林縁に生える。)

コキクザキイチゲ (神奈川県の箱根山が基準産地で、母種のキクザキイチゲに比べて全体に小型、花色は白色、淡紅色、淡青紫色、青紫色と変化に富む。)

サンリンソウ (北海道・本州中部地方以北の山地・亜高山帯に自生。)

シュウメイギク (中国原産の多年草。)

ニリンソウ (日本各地の山地や山裾に自生。藤原岳産の矮性種、多弁花「銀杯」などの品種がある。イチリンソウは花が大きく、茎葉に柄があり、小葉は細かく裂けるので、ニリンソウとは簡単に見分けられる。)

ハクサンイチゲ (本州中部地方以北の高山帯の湿り気のある草原に自生。)

ヒメイチゲ (北海道・本州中部地方以北の山地や針葉樹林内に自生。)

フタマタイチゲ (北海道・千島・樺太に分布。)

ユキワリイチゲ (本州の西部から九州に分布し、山麓の林のふちや竹林などに生える多年草。)

●和名
菊咲一華。花弁に見える萼片が細くたくさんあるため菊のようであり、茎の先に1花が付くことからの名。
別名キクザキイチリンソウ
●参考図書
日本の高山植物、山に咲く花(山と渓谷社)、山草辞典(鞄ネの葉書房)、山野草大百科(講談社)