一般園芸でなじみの深いアネモネと同じ仲間(属)。アネモネ属は世界各地に150種ほど、日本に約12種が分布する。
イチリンソウは本州、四国、九州の山中の疎林の下の比較的明るい草地で、軟らかい黒ポカあるいは小石混じりの粒質上で、常時適湿を保ち、きわめて水はけの良い場所に見られる多年草。6月には地上部は枯れ、伸びた草に埋れた地中で休眠する。
この属の花弁のように見える部分は萼片で、5〜10数枚あり、美しい花が多い。鉢植えでは花つきが悪いのが難点。比較的矮小で、花つきのよい選別種が普及する。
高さ15〜20cm。花は白色5弁、裏側は淡紅色を帯びる。葉はニンジンのように深く裂け、暗緑色で白い斑点がかすかに入るものが多い。
イチリンソウ みかも山
イチリンソウ 庭の春
春は日当たり、地上部が完全に枯れたら棚下や木陰などで管理する。夏の休眠期間も乾かさない程度に灌水する。
早春〜花後に充分肥培する。
植え替えは9〜10月に行い、赤玉土・硬質鹿沼土で、中深鉢に植え付ける。
増殖は株分けが一般的。根茎を小さく分け過ぎると株数は増えるが花付きは悪い。実生は4年で開花する。
庭植えは、夏に木漏れ日が射す落葉樹の下に植える。
アズマイチゲ (北海道・本州・四国の山地や山裾に自生。)
アネモネ (地中海地方原産の秋植え球根植物。)
キクザキイチゲ (アズマイチゲより葉が深く切れ込んでいる点で違いを区別する。北国の多雪地帯に多い。)
サンリンソウ (北海道・本州中部地方以北の山地・亜高山帯に自生。)
シュウメイギク (中国原産の多年草。)
ニリンソウ (日本各地の山地や山裾に自生。藤原岳産の矮性種、多弁花「銀杯」などの品種がある。イチリンソウは花が大きく、茎葉に柄があり、小葉は細かく裂けるので、ニリンソウとは簡単に見分けられる。)
ハクサンイチゲ (本州中部地方以北の高山帯の湿り気のある草原に自生。)
ヒメイチゲ (北海道・本州中部地方以北の山地や針葉樹林内に自生。)
フタマタイチゲ (北海道・千島・樺太に分布。)
ユキワリイチゲ (本州の西部から九州に分布し、山麓の林のふちや竹林などに生える多年草。)