ヤマトリカブト

最終更新日
2019/08/04
●学名
Aconitum japoium ssp.japonicum
●科名
キンポウゲ科トリカブト属
●花期
9月〜11月
●生育地

トリカブトの仲間は北半球に約300種が分布し、日本にはヤマトリカブトなど30種ほどがある。
本州の東北地方から中部地方に分布し、山の林内や草原に生える多年草。

箱根地方の草原で茎が直立するものをハコネトリカブトという。

●特徴

高さは1mを超える。紫色の花弁に見えるのは萼で、花弁は萼の内側にあってほとんど見えない。葉は3〜5深裂し、裂片には大きな鋸歯がある。産地によっては多くの近縁種がある。猛毒を持つ。

根を乾燥したものは鳥頭(ウズ)、附子(ブシ)と呼ばれ、強心剤、利尿剤として薬用に利用されている。

●写真集

ヤマトリカブトの花ヤマトリカブト 日光植物園

ヤマトリカブトの花ヤマトリカブト 尾瀬

●育て方

花の変異種や葉に斑が入る種が好んで栽培される。トリカブトの名で呼ばれる濃い青色花は中国の原産種で切花などに利用される。

4〜6号程度の中深鉢に、赤玉土4、軽石砂4、腐葉土2などを配合した肥沃な用土で植える。

植え替えは1〜2年に1度、塊根を掘り起こして行う。適期は新芽の出る前の3〜4月中旬。
午前中日が当たるか、木漏れ日の当たるような場所に置く。冬の休眠期は棚下などで保護する。

水やりは芽出し時期は少し多めに、その後は表土の乾きを見てたっぷりと与える。葉が枯れやすく、夏期は腰水で育てるとよい。休眠期も施す。

施肥は有機性固形肥料を植え付け後鉢の周囲に置肥する。花後に追肥として、また、植え替えない葉には春に同じ肥料を置肥する。

殖やし方は植え替え時に地下の塊根を分ける。作業は根に強い毒があるので、手袋をはめて行い、作業後は素早く手を洗うなど注意する。実生での増殖も容易で晩秋にタネを採取して早春にまく。

●近縁種

イブキトリカブト (近畿地方の日本海側山地に分布する種類。)

エゾトリカブト (北海道中央部に分布する。毒性が強い。)

オオレイジンソウ (亜高山帯から高山帯の湿り気のある草地に生える多年草。レイジンソウより全体に大きく、淡黄色の花をつける。)

オクトリカブト (ヤマトリカブト群のひとつで、北日本に分布する。)

カワラブシ (関東地方西部〜中部地方の太平洋側と紀伊半島に分布。)

キタザワブシ (本州の日光、八ヶ岳、南アルプス北部、中央アルプス、御嶽山に分布する。)

タンナトリカブト (ヤマトリカブト郡で西日本ではもっともふつうの種類。)

ツクバトリカブト (筑波山で発見された。東北地方南部の太平洋側から関東地方のほぼ全域と中部地方内陸部の高原に分布。)

ナンタイブシ (赤城山、日光、足尾山地分布する。)

ハナカズラ (日本で唯一のつる性トリカブトで、分類の難しいトリカブト類でも、他種と混同することはない。絶滅危惧植物。)

ホソバトリカブト (日光白根山、中央アルプス北部、八ヶ岳、南アルプスに分布する。)

ミヤマトリカブト (東北南部から乗鞍岳、白山にかけての地域に分布し、花梗に屈毛が生える。)

ヤチトリカブト (亜高山帯から高山帯の湿った草地に生える多年草。)

レイジンソウ (明るい林の中や山地の草原に生える多年草。淡紅紫色の花をつける。)

●和名
山鳥兜。花の形が舞楽奏者の冠(鳥兜)に似ていることからトリカブトの名がついた。
●参考図書
園芸植物(山と渓谷社)、日本の山野草(NHK出版)、山野草大百科(講談社)、山草図鑑(栃の葉書房)