ムラサキケマンは全体がやわらかく、傷つけるとやや悪臭がある。茎は高さ20〜50cm。葉は2〜3回羽状にこまかく裂け、裂片はさらに深く切れ込む。花は紅紫色。ときに白色。長さ1.2〜1.8cmの筒状で先は唇形となり、茎の上部にびっしりと総状につく。刮ハは総状長楕円形で吊り下がる。
ムラサキケマンの花の雄しべと雌しべは、通常、上下の花びらにはさまれて見えないが、ハチがやってきて蜜を吸おうと花びらを押し下げると、雄しべ雌しべの先が出てくる。ハチの体を介して花粉を受粉し、ハチが去ると花びらは再び元の位置に戻って、雄しべ雌しべを隠す。
また、ケシ科の植物の多くは、種子にアリの大好物エライオソームがついていて、親の植物から離れたところに散布される。小さな花に種をつなぐ知恵がつまっている。
品種で、白花種にシロヤブケマン、純白のユキヤブケマンなどがある。
有毒植物。全草に有毒成分のアルカロイドを含み、嘔吐、酩酊、昏睡、心臓麻痺の症状になる。
ムラサキケマン 太平山
ムラサキケマン 星野自然村
シロヤブケマン 星野自然村
花前はよく日に当てるが、花後は半日蔭で乾き気味に育てると良い。葉のある期間中は薄い液肥を与えるほか、多肥に注意する。
越年草なので、毎年実生で殖やし、鉢植え用に移植すると良い。丈夫な草なので用土は特に選ばない。
エゾエンゴサク (本州北部の日本海側と、北海道の湿った林下やスキー場のような開墾地似生える多年草。)
キケマン (関東地方以西の海岸や低地に生える越年草。黄花。)
ジロボウエンゴサク (平地の草地などに生える多年草。)
ミチノクエンゴサク (中部地方以北の日本海側に分布。ヤマエンゴサクによく似ているが、全体に細長い。)
ミヤマキケマン (本州の近畿地方以北に分布。山地 日当たりのよい、林縁、道路法面、崩壊地、谷川の礫地などに生える越年草。)
ヤマエンゴサク (山林の林下に群れをなして生える多年草。)