スミレ

最終更新日
2019/04/18
●学名
Viola
●科名
スミレ科スミレ属
●花期
3月〜5月
●生育地

日当たりのよいところに生える多年草。
スミレの仲間はスミレ科スミレ属の主として多年草で、世界の温帯に400種以上が分布するうち、日本は50種ほどが分布するスミレ大国である。

●特徴

根は茶色。葉は長楕円状披針形で長さ3〜8p、質はやや厚くてつやがあり、ふちに低い鋸歯がある。葉柄は3〜15pでひれがつき、根もとから多数立ち上がる。花は濃い紫色で径2〜2.5p、側弁に白い毛がある。距は長さ5〜7o。
花後から秋にかけて、つぼみに似た閉じたままのタネを熟す閉鎖花を煩雑に出す種が多く、熟すと頭を持ち上げて周囲にタネをまき散らす。この閉鎖花は自然交雑のない純粋な子孫を継ぐタネである。

●写真集

スミレスミレ 野山の春

コモロスミレ白花コモロスミレ

ミョウジンスミレミョウジンスミレ

●育て方

3〜4号程度の深めの鉢を用い、肥沃な用土として赤玉土4に軽石砂4,腐葉土2といった配合土を使用する。高地の原産種、海外の気難しい種は、水はけを配慮して、硬質鹿沼土5に軽石砂5などの混合土を使う。

植え替えの適期は花後の5月から6月の下旬、秋の9月中旬〜10月中旬、成長が活発なので年1度の植え替えが適切。

置き場所は開花前から開花中にかけては日なたに置き、梅雨に入ったら直接の雨を避けて、半日陰に移す。

水やりは表土の乾きを目安に、鉢底から水が出るほどにたっぷりと与える。大半の種は冬期に葉を落として休眠するが、この期間も忘れずに与える。

施肥は植えつけ時に緩効性の化成肥料を施し、植え替えない鉢には花後と秋に、化成または有機不良を施す。

●近縁種

アカネスミレ (日本各地の低地や丘陵地に自生する多毛のスミレ。花色は濃紅紫色で、花期は4月。)

アケボノスミレ (本州〜九州の山地に自生する。葉裏の脈上に毛がある。花は淡紅紫色で、花期は3〜5月。)

イソスミレ (別名セナミスミレ。本州の日本海側を主に海岸の砂地に生える。)

エイザンスミレ (本州〜九州の山地の木陰に自生。花は大型で淡紅紫色か白色花もあり、葉の切れ込みが大きく芳香がある。花期は4〜5月。)

オオバキスミレ (北海道から近畿地方までの、主に日本海側の多雪地に生える。)

キバナノコマノツメ (北海道・本州の中部地方以北・四国に分布、高山帯の湿り気のある草地に自生。)

コモロスミレ (花が重弁のもの。大正時代に長野県小諸市で見つかり、現在は市の天然記念物に指定されている。)

シハイスミレ (葉脈が白く現れる模様が美しい。)

シロカネスミレ (スミレの花弁に縞の残る白花種。)

ジョウエツキバナノコマノツメ (谷川岳と至仏山の蛇紋岩地に生えるキバナコマノツメの変種。)

タチツボスミレ (日本全国の山野に分布。低地〜山地に群生する。最も普通に見られるスミレ)

ナガハシスミレ (本州北部〜鳥取県ノ日本海側の山地に自生。長い距が特徴。花期は4〜5月。基本種は北アメリカ産。)

ニオイタチツボスミレ (北海道の函館から九州の屋久島まで、ほぼ日本全土の日当たりのいい草地などに生える。)

ノジスミレ (日本各地の日当たりの良い平地に自生する。花色は淡紫色で芳香がある。花期は4〜5月。)

パンジー (花径10〜12cmの超巨大輪種、大輪種、中輪種、ビオラと呼ばれる小輪多花性種がある。)

ヒメスミレ (本州の秋田県以南・四国・九州の人家周辺に自生する。小型で淡紅紫色の駐輪。花期は3〜5月。)

ミョウジンスミレ (呼び名は通称。唇弁ののどの部分に白いところがなく、逆に紫色が濃くなるもの。箱根の明神ヶ岳で見つかった。ところによってはふつうに見られる。)

ミヤマキスミレ (北海道から中部地方以北の日本海側に生える。)

ミヤマスミレ (北海道、本州、四国に分布し、山地から亜高山の針葉樹林帯に生え、淡紅紫色の花を咲かせる。)

ヤクシマスミレ (徳之島、奄美、屋久島、沖縄本島北部に生える小型のスミレ)

●和名
菫。 花を横から見ると大工道具の墨入れに似ているからとの説が一般的。
●参考図書
日本の野草、園芸植物(山と渓谷社)、日本の山野草(NHK出版)、山野草大百科(講談社)、山草図鑑(栃の葉書房