アブラナ科

学名：Cruciferae（Brassicaceae）

分類：双子葉植物

ジュウジバナ科ともよばれ、世界に３２１属約３４００種、日本に１８属５６種、日本の固有植物は１１種。
草本まれに低木。葉は互生し托葉はない。花は両性花で４個の萼片と４個の花弁、６個の雄しべ、２個の心皮からなる１個の子房（上位）をもつ。花は放射状に相似形の４花弁を持ち、総状又は散房花序をなす。果実は角果で下から２片に割れるか裂開しない。キャベツやダイコンなど多くの野菜類や、観賞用植物がある。

（印象）普段だべている野菜のほとんどがアブラナ科なんでは？と思うほど豊富な種族だ。これらの野菜の花をあまり見たことがないのでなんとも言えないが、そのうち野菜の花シリーズでも作ろうかと思った。まあ、菜の花といってもどの野菜？の菜の花か難しいから、出来るかどうかはわからないけど。

 

アブラナ科の屬と花の紹介（四季の山野草編）

---

• アブラナ（ブラシカ）屬（Brassica）・・・ヨーロッパ西、南部の海岸地帯に野生し、ケール、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、コールラビなどさまざまな野菜類が含まれる。
  本属にはカラシナ、ナノハナ(菜の花)、ハボタンなどがある。
• イベリス属（Iberis）・・・南ヨーロッパから北アフリカ、西アジアに分布し、約３０種を含む一年草または多年草。
  本属にはイベリス、トキワナズナなどがある。
• イヌナズナ属（Draba）・・・北半球と南アメリカの温帯〜寒帯に約３０種ある。日本には８種自生している。
• エルカ属（Eruca）・・・地中海地域に分布する半耐寒性一年草、または多年草で５種がある。
  本属にはキバナスズシロがある。
• オランダガラシ（ナスタティウム）属（Nasturtium）・・・北半球に６種分布する水辺に生える多年草。葉は羽状複葉、白色の花は調整して総状花序になる。
  本属にはクレソンがある。
• グンバイナズナ属（Thiaspi）・・・世界に約６０種、日本に２種が自生している。全体に無毛。花は白色まれに紫色。果実は軍配形または倒卵形、種子は１列。
  本属にはグンバイナズナある。
• ダイコン（ラファヌス）属（Raphanus）・・・ヨーロッパから中央アジアに広く分布する一年草から多年草で、８種がある。
  本属にはハマダイコンがある。
• タネツケバナ屬（cardamine）・・・世界に約１６０種、日本では湿潤値を中心に１７種が生育し、うち５種が固有である。茎や葉は無毛か単純毛だけがある。雄しべは花弁より短い。果実は長くて扁平。果片は中肋がない。
  ミツバコンロンソウは本州（関東以西）、四国、九州うに分布し山地の林下に生える。マルバコンロンソウは本州、四国、九州に、コシジタネツケバナは本州（群馬、新潟、富山）に、ヒロハコンロンソウは本州に、オオマルバコンロンソウは本州（京都、兵庫、岡山）に、それぞれ分布する。マルバコンロンソウとヒロハコンロンソウでは茎の上部の葉の基部は耳状になるのに対して、コシジタネツケバナとオオマルバコンロンソウでは耳状にならない。マルバコンロンソウは越年草で根茎はないが、ヒロハコンロンソウは多年草で長く水平に伸びる根茎をもつ。オオマルバコンロンソウでは頂小葉には縁に切れ込みがあるのに対して、コシジタネツケバナでは縁に切れ込みがない。
  この属にはタネツケバナなどがある。
• ニオイアラセイトウ（エリシマム）属（Erysimum） ・・・南ヨーロッパ原産の多年草であるが、一般的に秋蒔き春咲きの二年草として扱われる。
  本属にはニオイアラセイトウがある。
• ニワナズナ（ロブラリア）属（Lobularia） ・・・地中海沿岸原産の多年草だが、非耐寒性のため園芸上は一年草として扱われる。
  本属にはアリッサムがある。
• ハクセンナズナ属（Macropodium）・・・アジアに２種あり、日本に１種自生する。茎や葉は単純毛だけあり、葉は分裂しない。雄しべは花弁よりずっと長い。果実の下部は長い柄になる。
• ハナダイコン（ヘスペリス）属（Hesperis） ・・・ヨーロッパ及びアジア原産の多年草。約６０種がある。
  本属にはハナダイコンがある。
• マッディオラ属（Matthiola）・・・南、西ヨーロッパ原産の半耐寒性一年草または多年草で、灰色の軟毛が枝全体をおおう。
  本属にはストックなどがある。
• マメグンバイナズナ属（Thiaspi）・・・本属にはカラクサナズナ、マメグンバイナズナ等がある。
• ムラサキハナナ属（Orychophragmus） ・・・中央、東アジア原産の一、二年草で２種がある。
  本属にはムラサキハナナがある。
• ムラサキナズナ（オーブリエタ）属（Aubrieta）・・・地中海沿岸からイランに、約12種が自生する常緑多年草。葉は単葉で卵形から長楕円形、花は総状花序をなし、藤色から紫紅色。萼片、花弁ともに4個。
  本属にはムラサキナズナがある。
• ヤマハタザオ属（Arabis） ・・・北半球に約１２０種、日本に９種が自生する。茎や葉に単純毛、２分岐毛、星状毛がある。花は白色または帯紫色。腺体は短い雄しべをとり巻く２個と長い雄しべの基部外側に２個ずつ、計６個ある。果実は細い円柱形ですこし平たい。
  日本固有種は本州中部の高山に生育するクモイナズナのみである。
  なお、従来は本属に分類され、日本の固有種とされたハクサンハタザオやタチスズシロソウは、その後の研究で東アジアの広い地域に分布することが判明し、またシロイヌナズナ属に分類されることになった。
  本属にはアラビス、スズシロソウ、フジハナザオ、ヤマハタザオなどが分布する。
• ルナリア（ギンセンソウ）属（Lunaria）・・・中央から南ヨーロッパに２種分布する耐寒性の一年草または多年草。
  本属にはルナリアがある。
• ワサビ（エウトレマ）属（Eutrema）・・・原産地は日本、サハリンとされ、青龍の走る深山の谷筋に自生する多年草。
  本属にはワサビがある。
• その他の主な植物・・・イワナズナ、カブ、カラシナ、カリフラワー、キャベツ、コマツナ、セイヨウワサビ、ダイコン、タカナ、チンゲンサイ、ナズナ、ハクサイ、ブロッコリー、ミズナ、ミヤマナズナなど

参考文献
日本の固有植物 (国立科学博物館叢書)　　 園芸植物 (山渓カラー名鑑)