カタクリ

最終更新日
2018/03/11
●学名
Erythronium japonicum
●科名
ユリ科カタクリ属
●花期
3月〜5月
●生育地

国内には1種しか産せず、北海道、本州、四国、九州などに広く分布。球根(鱗茎)を持つ多年草で、原野〜山地の落葉樹林の明るい林床に生え、しばしば群落を形成する。
世界的に約20種が知られ、東アジア〜北アメリカ、ヨーロッパに分布する。

●特徴

高さ10〜20cm。葉は淡緑色で紫褐色の斑紋があるが、生育地によっては、まったくないものもある。はじめ1枚で、開花するときには2枚になる。長い柄をもち、葉身は長楕円形で長さ6〜12cm。花は早春、花茎の先に1個つき、下向きに開く。花被片は6個あり淡紅色、披針形で長さ4〜5cm、基部近くに濃紫色のW字形の斑紋があり、情報に強くそり返る、基部にW字状の模様があり、径4〜5cmもある大輪の紅紫色の花を開く。花弁は開くとすぐ情報へ反転する。雄しべは花被片の半分ほどの長さ、葯は濃紫色で線形。
実生から開花までふつう7〜8年かかる。

地下の鱗茎にはでんぷん質が貯蔵されており、昔はこのでんぷんを取りだし、かたくり粉にした。

●写真集

カタクリカタクリ 新潟・佐渡

カタクリカタクリ 早春の野山

カタクリの花(白花)カタクリ 霧降高原

カタクリの花カタクリ 花之江の郷

カタクリの花カタクリ 三毳山

カタクリの花カタクリ 星野自然村

カタクリの花カタクリ 春の庭

●育て方

鉢植えでの開花率は低いので、葉をなるべく長く保ち、液肥や葉面散布、ブドウ糖などを施し肥培しなければ開花は望めない。むしろ露地植えが栽培しやすい。砂混じりの庭土に腐葉土やパーク堆肥を十分すき込み、落葉樹の木陰などに植えつける。

植え付けは5〜10球を目安に、深めの5〜6号の山野草鉢が適する。肥料分のある水はけのよい用土を使用。赤玉土4、軽石砂4に腐葉土またはパーク堆肥2を加えて植えつける。秋の彼岸頃に根が伸び始めるので、8月中旬〜9月中旬までが適期。

植え替えは3年に1回が最適。球根が鉢底ヘ移動することが多いので、植え替え時に上部へ戻す。

水やりは芽出しの時期は多めに与え、その後は土の乾き具合を見て与える。休眠中も続けるが、夏期は過湿にならないように控えめにする。

施肥は植え付け時、緩効性化成肥料をごく少量を元肥として入れ、植え付け後に鉢上の隅2〜3ヶ所に有機性固形肥料を置肥する。開花後から休眠まで(4〜6月)、約2000倍に希釈した液肥を水やり代わりに与え、100%ブドウ糖1000倍希釈液を着きに3〜4回与えると効果があがる。植え替えしない鉢は、9月に再び置肥をする。休眠していた球根は、9月中旬から発根が始まるので、植物活性剤や液肥、ブドウ糖液を施す。日平均気温が5℃以下になると休眠するので施肥は中止する。

殖やし方は、実生と分球によるが、ともに開花までに長い時間(6〜7年)を要する。

●近縁種

エリスロニウム「パゴダ」〜キバナカタクリ (ツオルムネンセの交配種で大型の強健種。黄花。庭植えにも適する。北アメリカ産。)

エリスロニウム「ホワイトビューティー」 (鱗茎が超えると花柄を分岐し、花を数個も付ける。オレゴナムの交配種。)

エリスロニウム・テンスカニス「パープルキング」 (ヨーロッパ原産のデンスカニスの花が大きい藤紫色の選別種。夏期に過湿にしないこと。この頃より肥培につとめる。)

エリスロニウム「スザンナ」 (北アメリカ原産のツオルムネンセとオンゴナムとの交配種。)

エリスロニウム「アメリカナム」 (主に湿潤で砂の多い草地に自生する草丈5〜10cmの小型種。北アメリカ東部の原産。)

エリスロニウム・レボルツム・ジョンソニー (北アメリカ原産で太平洋側に分布。)

エリスロニウム「サンディスク」 (花の中央部に描く橙褐色の模様が特徴。「パゴダ」の実生で出た選別種。)

●和名
片栗。和名は古名のカタカゴが転じた名で、傾いた籠の意味で、花の姿から連想した名である。
別名カタコ、カタナゴ。
●花言葉
初恋、寂しさに耐え抜く、嫉妬
花言葉は、人気のない地にひっそりと咲く姿が、うまく気持ちを伝えられない初恋の切なさを連想させることからつきました。
●参考図書
野に咲く花(山と渓谷社)、日本の山野草(NHK出版)、山野草大百科(講談社)、美しい花言葉・花図鑑(ナツメ社)