国内には1種しか産せず、北海道、本州、四国、九州などに広く分布。球根(鱗茎)を持つ多年草で、原野〜山地の落葉樹林の明るい林床に生え、しばしば群落を形成する。
世界的に約20種が知られ、東アジア〜北アメリカ、ヨーロッパに分布する。
高さ10〜20cm。葉は淡緑色で紫褐色の斑紋があるが、生育地によっては、まったくないものもある。はじめ1枚で、開花するときには2枚になる。長い柄をもち、葉身は長楕円形で長さ6〜12cm。花は早春、花茎の先に1個つき、下向きに開く。花被片は6個あり淡紅色、披針形で長さ4〜5cm、基部近くに濃紫色のW字形の斑紋があり、情報に強くそり返る、基部にW字状の模様があり、径4〜5cmもある大輪の紅紫色の花を開く。花弁は開くとすぐ情報へ反転する。雄しべは花被片の半分ほどの長さ、葯は濃紫色で線形。
実生から開花までふつう7〜8年かかる。
地下の鱗茎にはでんぷん質が貯蔵されており、昔はこのでんぷんを取りだし、かたくり粉にした。
カタクリ 新潟・佐渡
カタクリ 早春の野山
(白花)カタクリ 霧降高原
カタクリ 花之江の郷
カタクリ 三毳山
カタクリ 星野自然村
カタクリ 春の庭
鉢植えでの開花率は低いので、葉をなるべく長く保ち、液肥や葉面散布、ブドウ糖などを施し肥培しなければ開花は望めない。むしろ露地植えが栽培しやすい。砂混じりの庭土に腐葉土やパーク堆肥を十分すき込み、落葉樹の木陰などに植えつける。
植え付けは5〜10球を目安に、深めの5〜6号の山野草鉢が適する。肥料分のある水はけのよい用土を使用。赤玉土4、軽石砂4に腐葉土またはパーク堆肥2を加えて植えつける。秋の彼岸頃に根が伸び始めるので、8月中旬〜9月中旬までが適期。
植え替えは3年に1回が最適。球根が鉢底ヘ移動することが多いので、植え替え時に上部へ戻す。
水やりは芽出しの時期は多めに与え、その後は土の乾き具合を見て与える。休眠中も続けるが、夏期は過湿にならないように控えめにする。
施肥は植え付け時、緩効性化成肥料をごく少量を元肥として入れ、植え付け後に鉢上の隅2〜3ヶ所に有機性固形肥料を置肥する。開花後から休眠まで(4〜6月)、約2000倍に希釈した液肥を水やり代わりに与え、100%ブドウ糖1000倍希釈液を着きに3〜4回与えると効果があがる。植え替えしない鉢は、9月に再び置肥をする。休眠していた球根は、9月中旬から発根が始まるので、植物活性剤や液肥、ブドウ糖液を施す。日平均気温が5℃以下になると休眠するので施肥は中止する。
殖やし方は、実生と分球によるが、ともに開花までに長い時間(6〜7年)を要する。
エリスロニウム「パゴダ」〜キバナカタクリ (ツオルムネンセの交配種で大型の強健種。黄花。庭植えにも適する。北アメリカ産。)
エリスロニウム「ホワイトビューティー」 (鱗茎が超えると花柄を分岐し、花を数個も付ける。オレゴナムの交配種。)
エリスロニウム・テンスカニス「パープルキング」 (ヨーロッパ原産のデンスカニスの花が大きい藤紫色の選別種。夏期に過湿にしないこと。この頃より肥培につとめる。)
エリスロニウム「スザンナ」 (北アメリカ原産のツオルムネンセとオンゴナムとの交配種。)
エリスロニウム「アメリカナム」 (主に湿潤で砂の多い草地に自生する草丈5〜10cmの小型種。北アメリカ東部の原産。)
エリスロニウム・レボルツム・ジョンソニー (北アメリカ原産で太平洋側に分布。)
エリスロニウム「サンディスク」 (花の中央部に描く橙褐色の模様が特徴。「パゴダ」の実生で出た選別種。)