イワウチワ

最終更新日
2019/02/24
●学名
Shortia uniflora
●科名
イワウメ科イワウチワ属
●花期
4月〜5月
●生育地

アジアと北アメリカに4種ほど分布する属(イワカガミを別属とする場合)で、常緑の多年草。
日本には本州の近畿地方以東にイワウチワ、奄美大島から琉球にシマイワウチワが分布する。やや暗い林床に自生することが多く、厚いうちわ型の葉脈が目立つ。艶のある葉に淡紅色の美しい花を咲かせる。

東京近郊の自生地として有名なのは、 東京都青梅市大塚山、山梨県上野原市坪山など。

●特徴

根生葉は長い葉柄がある。葉は質が厚く少し光沢があり、長さ幅とも2.5〜7cmの広円形で波状の鋸歯があって葉先は凹む。

葉の間から5〜15cmの直立する花茎の先に、漏斗状鐘形で花弁の先が細く裂けた淡紅色花を咲かせる。花冠は直径2.5〜3cm。雄しべは5個あり、その下部に5個の仮雄しべがある。花柱は細く、先が3裂する。萼は離生する5個の萼片からなり無毛。

イワウチワとイワカガミの違い

イワウチワの葉

イワウチワ
丸い葉で中央部に切れ込みがない。

イワカガミの葉

イワカガミ
イワカガミの葉は中央部に切れ込み(写真左側)がありハート状になる。

     
●写真集

イワウチワの花イワウチワ 四季の山野草〜野山の春

イワウチワの花イワウチワ 四季の山野草〜新潟・佐渡

●育て方

空中湿度を持たせるようにし、あまり強い風に当てないよう注意する。植え替えは2〜3年に1回、新芽の動く前か花後に行う。

用土は、生きたミズゴケ単用かゼンマイの根に赤玉土の小粒を混ぜて使用するか、山砂に腐葉土を2割くらい混ぜたものを使用する。

開花中は日なた、後に日陰がよい。水切れに弱いので注意する。

鉢は、小判形か長方形の浅鉢に群生させるように植える。

殖やし方は株分けと実生による。

●近縁種

イワカガミ (日本全国に分布。山地の岩場や高山の草地に生える常緑の多年草。)

オオイワカガミ (イワカガミの変種で、主に東日本の日本海側に分布する。)

コイワカガミ (高山に生えるもので、葉の鋸歯があまり目立たないものをイワカガミと区別することがある。)

トクワカソウ (北陸から近畿地方のものは葉が広楕円形で、基部は円形またはくさび形となり、トクワカソウと呼ばれる。イワウチワの葉は長さより幅が広く、基部は心形。区別しにくい個体もある。)

●和名
岩団扇
岩地に生え、葉がうちわに似るのでこの名がある。
●参考図書
山草図鑑(栃の葉書房)、神戸山草会編(月刊さつき研究社)、山に咲く花、日本の高山植物(山と渓谷社)