高さ1〜2mになり、茎は細く先の方は垂れ下がる。地上部は2年または数年で枯れ、新しいものと代わる。花は径3〜5cm、花弁は5枚で平開する。葉は互生し、縁に粗い鋸歯があり、先が尖る。一重の花と八重咲きの花がある。
果実は長さ4mmほどの広楕円形の痩果。1〜5個集まり、茶褐色に熟す。枝が緑から褐色に変わると数年で枯れる。
日本と中国にだけ分布する1属1種の珍しい花木。日本では、万葉の昔から優雅で気品のある花として愛され、栽培されてきた。
ヤマブキ 日光植物園
ヤマブキ 春の野山
ヤマブキ 三毳山
ヤマブキ(絞り咲き) 花之江の郷
春は日当たりが良く、以降は半日陰で管理する。
根が浅く多いので乾燥が苦手、生育期は水切れに注意して、乾燥しやすい場合にはマルチングなどするとよい。
置き肥を多めに与え、新しい茎を伸ばすようにする。
赤玉土と鹿沼土の混合土など腐植質の多い肥沃な用土を使用する。
剪定は特に行う必要がないが、枯れた枝は基部から切り戻す。
挿し木、株分けで増やす。春には前年の充実した枝を、6〜7月には春に伸びだした半分かたくなった枝を、10〜15cmの長さに切り、小粒の赤玉土に挿す。株分けは冬の休眠期に行う。
耐寒性、耐暑性はある。
シロバナヤマブキ (花が淡黄色を帯びる。)
シロヤマブキ (別属で間違われやすいが、シロバナヤマブキは5弁花、シロヤマブキは4弁花なので容易に区別できる。)
山吹。しなやかな枝が風に揺れる姿を「山振り」といい、それが転訛したといわれる。
気品、崇高、金運
この花の有名な逸話の一つとして、室町時代の武将大田道灌(おおたどうかん)の話があります。にわか雨にあって簑を借りに田舎の家を訪ねた道灌が、その家の娘に無言で山吹の枝を出され、声には出さなかったものの腹を立てて帰りました。ところが後に、「後捨遺和歌集」の歌「七重八重花は咲けども山吹の実の(簑)一つだになきぞかなしき」(七重八重にヤマブキの花は咲いても、実が一つもつかないのは悲しいことです」の歌に託して、「我が家にも悲しいことにお貸しできる蓑が一つもない」ということを伝えようとしたと尻、自分を恥じたという話です。
花言葉は、色名にもなるほどきれいな黄金色の花色から生まれました。
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