本州(福島県以南)、四国、九州、台湾に分布。渓谷や山地の湿った岩場に着生する多年草。
葉はゆがんだ楕円形状卵形で光沢があり、長さ10〜50cmで、縁に不整の鋸葉があり表面には縮緬しわがある。6〜8月に高さ10〜15cmの花茎を伸ばして、茎頂に径約15mmの花を数個咲かせる。花色の基本は薄紫色だが、濃紫色や白・桃色など変化がある。
イワタバコは冬の間、葉をかたく巻いて休眠する。このためイワタバコ科のなかでは、分布域をもっとも北に広げることができたといわれている。暖かくなると葉を広げる。若葉は少し苦みがあるが食べられる。また胃腸薬としても利用される。
イワタバコ 夏の野山
イワタバコ 日光・白根
春、秋は明るい日陰、夏は涼しい日陰で管理。
灌水は乾いたら充分与え、施肥は液肥を月に2〜3回、葉が大きく伸びるので中深鉢を用い、葉が汚れたり痛んだりするのを防ぐ。水分を好むので、水はけの良い硬質鹿沼土7と赤玉土3の混合土、石付けなどにはケトに小粒の赤玉土を2割程度混ぜて使用する。造形的に石付けや軽石鉢に植えつけてもよく育つ。
繁殖は葉挿し。
イリオモテイワタバコ (変種。西表島などに分布し、葉裏や花茎に軟毛がある。)
イワギリソウ (山地の陰地や岸壁に生える多年草。淡紫色の花を多数横向きに咲かせる。)
オニイワタバコ (ピレネー山脈に分布する。)
ケイワタバコ (中部、近畿地方に分布。イワタバコの品種で、花茎、菊、葉の裏面の脈上に毛があり、花期が少し早い。)